2008年 第7回公演 山本周五郎の妻

=あらすじ=

 

 空襲の激しさが増す終戦末期、きんは防空壕の中で近所に住む小説家・山本周五郎から「これは貴女をモデルにした小説です」と短編を渡される。それは世界でただ一つしかない物語。「そんなものを産み出せる小説家ってなんて素敵!」と、きんは単純に感激したのだが、これが周五郎のプロポーズだった。


 きんは周五郎の後妻になって横浜・本牧海岸の新居に住むが、さあそれからが大変。結婚したこともないきんがいきなり3人の子供の母親になる。その上、周五郎は文壇でも有名な偏屈、頑固、家では亭主関白なくせに寂しがりやで扱いにくく、金銭感覚が全くないのできんの苦労も人並みではない。


 しかし明るくて欲がないきんの存在は、周五郎の作品に登場する女性像に大きな影響を与え、周五郎の戦後の小説はどんどん社会的評価が高くなっていく。それは、きんにとっても喜ばしいことだったのだが、家庭の幸せに身を置いていては良いものは書けないと考えた周五郎は、三渓園近くの高台に仕事場を持って自宅を離れてしまい、きんは孤独に耐えなくてはいけなくなる。


 やがて数多くの連載を持つようになった周五郎は、殆ど自宅に帰ってこなくなる。周五郎の名声が高まれば高まるほど、遠のく夫婦の距離。重たい岡持ちを持ち、高台の長い階段を上って仕事場へ食事を運ぶ日々に、次第に疲れてきたきんは「自分の人生は一体なんだろう」と考え始める。そしてそれは「夫婦とは」という、大きくて深い普遍の問いかけでもあるのだということを悟るのだった。


 果たして、きんは、粧和の文豪・山本周五郎の妻として、どう生きていこうと決意するのか・・・。

「山本周五郎の妻」脚本
「山本周五郎の妻」脚本
「山本周五郎の妻」脚本
「山本周五郎の妻」脚本